渡航移植はいま 『命のリレー』の舞台裏 新規参入、古顔復活も ビジネスの場は中国
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新規参入、古顔復活も ビジネスの場は中国「『命のリレー』の舞台裏 渡航移植はいま」(上)
2009年11月25日 提供:共同通信社
今や米国に次ぐ「世界第2位の移植大国」の中国。「死刑囚を臓器提供者にしている」と問題視する声がある中、あえて渡航して手術を受ける患者もいる。どんな事情があるのか。かかわりを持つ人々の声を聞いた。
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「今月は3グループが現地で移植を受ける。最近、依頼が増えている」
10月上旬、首都圏の駅前にある雑居ビルの一室で、ワイシャツ姿の40代男性が笑顔で言った。
中国で長年繊維関係のビジネスをした経験を生かし、3年ほど前から移植希望者に現地の病院を仲介。事前に複数の"同業者"を訪ね、情報を集めたという。「中国への渡航移植は以前より難しくはなったが、できなくはない」
男性の説明では、費用は肝臓が1500万~2千万円、腎臓なら700万~850万円程度。実際に移植に至るのは相談に訪れた患者のうち肝臓で7、8人に1人、腎臓では2人に1人。経営する現地法人と連携し、人づてに知り合った中国人医師に手術を頼むという。
自分のやっていることが、いいことだとは思わないと話す。「患者を助けてはいるが、実質的に臓器を買っている」
代わりに、中国に貢献したい。日本人が移植を受けるたびに透析機器を提供するとか、日本の医師が中国で移植手術を手伝うとか...。男性はそんなことを考えている。
7月、約10年前から仲介を続けているという甲信越地方の男性(61)を訪ねた。「腎臓移植のため、中国に渡った患者の診断書。私が世話した」。中国語で書かれた1枚の紙を見せ、男性は説明した。「仲介料を受け取っている」とも。
日本の臓器移植法は、国内外を問わず有償での臓器移植のあっせんを禁じている。法的に問題はないのかと聞くと、はぐらかすように答えた。
「法律と命、どちらが大事か。生きるため海外に行く患者を、誰も止められないはずだ」
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"愛する家族やあなた自身が、国内で臓器移植ができないため、余命宣告をされた時、どうしますか?"
こう問い掛けるウェブサイトが9月、立ち上がった。
運営者は都内でインターネット関連企業を経営する50代の男性社長。サイト上で「海外移植アドバイザー」と名乗り、2003~07年に200人以上に中国など海外での移植を仲介したと自己紹介。その活動ぶりは当時のマスコミでも取り上げられた。
「以前紹介していた中国の病院は、日本の患者を受け入れなくなった。今はあっせんはしていない」。記者の電話に社長は声を落とした。
07年、中国政府は外国人への移植の規制を強化。同年9月、社長は中国の公安当局に拘束され「移植仲介に絡み、事実と異なる宣伝をした」として実刑判決。その後、釈放された。
活動再開は、患者に役立つ情報やノウハウを伝えたいと思ったからだという。サイトでは参加費1万円のセミナーを宣伝し、1枚3万円でDVDを売っている。
※中国への渡航移植
中国は「死刑囚ドナー(臓器提供者)」の存在など倫理的な問題を抱えているが、日本国内での移植をあきらめた患者の主要な渡航先の一つ。厚生労働省研究班の調査では、2005年までに海外で移植を受けた患者522人中、120人は中国に渡っていて、うち106人が腎臓移植。中国政府は07年、観光名目で訪中した外国人への移植を禁じる通達を出した。
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