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がんを生きる つながりを求めて 心の底の思いを聞く

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心の底の思いを聞く がんを生きる つながりを求めて/1

2009年11月23日   提供:毎日新聞社

がんを生きる:つながりを求めて/1 心の底の思いを聞く

 ◇電話相談、12年間で6000件

 「主治医を訴えたい」

 東京・湯島の雑居ビルに入居する「がん電話情報センター」の事務所。先月、相談主任の橋本明子さん(58)が受話器を取ると、怒気を帯びた声が聞こえてきた。

 4年前に血液のがんで兄から骨髄移植を受けたという50代の女性だった。「移植のとき、医師が『協力しないと妹さんの命が危ない』と脅すように兄に迫った。その態度が許せない」。そんな相談だった。だが、橋本さんは「4年前のことを今さら相談するかな」といぶかしく思った。

 数日後にまた電話があった。根気強く雑談に付き合うと、女性はぼそっと言った。「兄が骨髄提供の見返りにお金を要求してきました」。それが、女性の話したい真相だった。4年前に数十万円支払ったのに、足りないと言ってきたという。「つらい。どう断ればいいのか」。女性は尋ねた。

 「わだかまりがあれば、人は真実を話せない。心の奥底の思いを出してもらうまで、ひたすら話を聞く」。相談の基本だという。橋本さんは骨髄提供が本来無償であることを兄に理解してもらうよう、時間をかけてアドバイスした。自分の疑念が正しいと確認できたからか、女性は「いただいた命を大事に生きます」と言って電話を切った。

 骨髄移植を巡る親族間の金銭トラブルは決して珍しくないという。4年も前の体験が形を変えて患者を苦しめる。橋本さんはがんという病のやっかいさを思った。

 センターが発足したのは08年6月。訓練を受けた元看護師らの相談員が平日の5時間、がん患者や家族らの電話相談に無料で応じる。

 橋本さんが、がんの悩みをくみ取ろうと思った原点は、長男知(さとる)さんの死だ。小学4年だった86年夏、知さんは慢性骨髄性白血病と診断された。骨髄移植を望んだが、白血球の型が合うドナーが見つからない。橋本さんは翌年、骨髄バンク設立に向け運動を始めた。4年後、「骨髄移植推進財団」が発足し、夢はかなった。だが、知さんはその直後の92年2月、「よくやったじゃない」という母へのねぎらいの言葉を残し力尽きた。15歳だった。橋本さんは息子のぬくもりを感じながら、「患者や家族が悩みを吐き出す場所があれば」と思った。

 知さんが亡くなった直後から、毎朝のように自宅の電話が鳴った。骨髄バンク設立運動の仲間の女性からで、彼女も知さんと同じ病だった。

 「八百屋の店主が、泥のついた手でバナナを手渡すのよ」。忙しい時間帯なのに、たわいない世間話が30分も続く。外出すると「どこに行ってたの」と詰問される。

 「あなたの話を聞き続けるのが耐えられない」。数カ月後、彼女に本音をぶつけた。「私の気持ちを分かってくれると甘えていたの。ごめんなさいね」。二度と電話はなく、人づてに彼女が亡くなったと聞いた。「死が迫る中、話を聞いてほしかったんだな」と橋本さんは思った。「彼女のような人たちの声をしっかりと受け止めたい」

 前身組織の時代を含め、この12年間で橋本さんが受けた相談電話は6000件を超えた。【清水優子】

     ◇

 厚生労働省の研究班による「がんと向き合った7885人の声」というタイトルの報告書がある。がん体験者7800人余りに悩みを聞いたところ、53%が「落ち込みや不安や恐怖などの精神的なこと」を挙げたという。「これからの生き方、生きる意味」や「家庭・家族のこと」も3割前後が挙げた。こうした幅広いがんの悩みを受け止め、患者や家族を支えようとする人々がいる。カウンセラー、研究者、遺族と立場はさまざまだ。その活動を通して、がんの「いま」を見つめる。=つづく

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 ◇がん電話情報センター

 NPO法人・日本臨床研究支援ユニットと厚生労働省の科学研究班・高山班が共同運営する。スタッフは相談主任のほか、女性の相談員4人。相談電話は電話0570・055224。受付時間は平日の正午~午後5時。

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