横浜・カンガルー統合保育園:医療的ケア「保育の一部」 看護師らが導尿、経管栄養
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医療的ケア「保育の一部」 看護師らが導尿、経管栄養…横浜・カンガルー統合保育園
2009年12月6日 提供:毎日新聞社
医療的ケア:「保育の一部」 看護師らが導尿、経管栄養…横浜・カンガルー統合保育園
◇導尿、経管栄養、たん吸引…
◇受け入れの場少なく、転居伴う入園も
経管栄養など医療的ケアが必要な人が地域で暮らすことは普通になったが、そうした子どもを受け入れる保育の場は少ない。横浜市鶴見区のカンガルー統合保育園(定員30人、高倉本江園長)は、退院後の受け皿がないことに気付いた看護師が、医療的ケアの必要な子どもを積極的に受け入れるために始めた全国でも数少ない保育園の一つだ。
7月に通い始めた川崎市の瀧川六花(たきがわりっか)ちゃん(2)は、神経の障害で自力の排尿が難しい。1日4、5回のカテーテルを消毒し尿道に差し込む導尿が必要だ。母の会社員、環さん(33)は六花ちゃんが5カ月のとき、5分説明を受けただけで始めなければならなかった。最初は不安で手が震えたという。今、日中の導尿は保育園で担任の保育士が行う。
環さんは、育児休業を1年半に延長し保育所探しに奔走した。当時、住んでいた東京都大田区や実家のある足立区、主治医のいる世田谷区など複数の自治体や無認可園を訪ねたが、すべて断られた。看護師の常駐する認可保育所は少なくないのに「23区で受け入れる園はない」と断言され、泣きながら帰宅したこともある。導尿は多くの場合、小学生になれば自分でできるが「何かあっても責任を持てない」「母親が仕事をやめれば」とおよび腰の行政に怒りを感じた。
そんなとき、カンガルー統合保育園のホームページを見つけた。横浜市が独自で基準を満たす無認可園に助成する横浜保育室の一つだ。保育料は月5万6000円(2歳児、週6日)と認可園より高めだが、障害児受け入れに伴う看護師の配置で市の助成を受けており、ケアによる料金の上乗せはない。
看護師の冨永貴子さん(48)によると、現在、特別なケアを必要とする子は2人だが、02年の開所以来、20人以上受け入れてきた。瀧川さんのように方々で断られ、遠方から引っ越してきた例も珍しくないという。
特別なケアが必要でもクラスは分けず、散歩も水遊びも保育者を増やすなどして、なるべくほかの子といっしょに過ごすようにしている。医療的ケアは最初、看護師だけが行っていたが、今は研修を積んだ保育士が行う。六花ちゃんの担任の福井和代さん(24)は「最初は不安でしたが勉強するうちに解消された。ケアは保育の一部でしかない」と話す。障害のない子もふだんから「どうしたらみんなが一緒に遊べるか」と考えるくせがつき、面倒見の良い子が多くなるという。
カンガルーに通い始めた六花ちゃんは言葉も上達し「赤ちゃんから急に幼児になった」と環さん。友達との遊びを毎日楽しみにしていて、そうした姿が環さんや夫の励みにもなっているという。【大和田香織】
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◇医療的ケア
医療資格のない者の医療行為は医師法などで禁じられているが、訪問看護などのサービスが不十分なため、家族に大きな負担がかかる。導尿や、たんの吸引、経管栄養など医学的判断を必要としないふだんのケアは医療と区別し「医療的ケア」と呼ばれる。義務教育レベルでは特別支援学校の教員などに一部認められつつある。
保育所については、医療的ケアや障害を理由に自治体が受け入れを拒否してはならないとする判例があるが、看護師のケアが前提だ。カンガルー統合保育園では、横浜市に対し、保育士によるケアを認めるよう国に働きかけたり、看護師を増やし、保育所でのケアを拡充するよう求めている。
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