疲れない靴、どう選ぶ
疲れない靴、どう選ぶ
2010年5月14日 提供:毎日新聞社
靴:疲れない靴、どう選ぶ
◇「幅ぴったり、つま先ゆったり」を 子供は年1、2回買い替えて
1日のかなりの時間身につけている靴。足に合っていないと歩きにくく疲れがちな上、履き続けることで痛みやタコなど障害のもとにもなる。足に合った靴はどのように選べばよいのか。専門家に話を聞いた。【野田武】
足に合った靴を選ぶには、まず足の特徴をつかむことから始まる。シューフィッターの大木金次さん(64)=大阪市=に私(35)の足を見てもらった。シューフィッターは社団法人「足と靴と健康協議会」(東京都)が養成・認定している資格。主に百貨店や靴の専門店に所属し、全国で3134人が活動している。名前や所属店舗は、同協議会のホームページで調べることができる。大木さんも長年、大手百貨店で靴選びの手助けをしてきた。
大木さんは、紙の上に私を立たせ、専用のペンを使って足の形を描いた。描かれた左右の足形を見て、まず一言。「左の小指と薬指の出っ張りが気になりますね。靴に当たりやすくないですか」。確かにそう感じていた。靴によっては長時間履いていて薬指のつめの内側が内出血したこともあった。でもなぜ出っ張っているのか。
その理由も説明してくれた。「土踏まずが沈み気味で、舟状骨がやや足の内側に出ていますね。これが指の出っ張りにつながっています。このあたりが靴選びのポイントになりそうです」
大木さんの話を理解するには、足の骨格を知っておく必要がある。足の骨格のうち一番下にあるのは、かかとの踵骨(しょうこつ)と立方骨、それにつながる小指と薬指の中足骨だ。そしてその上に、中指から親指にかけての中足骨とその根元にある舟状骨が乗っている。このような「2階建ての構造」になっており、歩く際の衝撃を吸収できるよう、アーチ状を描いている。このため肩幅ほどに足を開いて自然に立つと、「1階」にあたる足の外側に体重が多くかかっているのが分かる。
大木さんによると私の場合、左足の体重が内側にかかって土踏まずが沈み気味で、「2階」にあたる部分が足の内側へ押し出されているため、その反動で「1階」の薬指と小指が外側へ出て靴に当たりやすくなっているのだという。「こうした場合、土踏まずを下から支えてやる中敷きを入れることで、緩和することが可能です」とアドバイスを受けた。
◇ ◇
実際に靴を選ぶ時のポイントで、意外と気にしていないのが足の幅だ。靴は大きさが同じでも、幅は異なる。靴を買う時に試着して、何となく幅が広い方がゆとりがあって歩きやすく、後から履けなくならないからよいと考えがちだが、これは望ましくないという。大木さんは「特に中足骨のあたりが、横からぴったり締まっていることが大事」と指摘する。
これは歩く時の体重移動に関係している。体重はまずかかとに乗り、次に小指と薬指の付け根あたり、最後に親指のあたりで地面をけり出している。大木さんは「靴の幅が大き過ぎると、足が靴の中で滑ったり土踏まずが下がって体重移動がうまくいかず、つま先に力が入りにくく歩きにくい。中足骨のあたりを締めてあげればそうしたことはなく、つま先に力が入って歩きやすくなる」と指摘する。
また、つま先で地面をけって歩くのに、指先を靴の中で動かせる余裕があることも必要だ。だが、靴を買ってからつま先が細く、歩きにくい思いをすることもある。こうしたことを防ぐためには、靴を試着する際に、つま先立ちした状態でしゃがんでみて、違和感がなければ大丈夫だ。あと、かかとの大きさも靴によってまちまちなので、実際に履いてみてぴったり合ったものを選びたい。
◇ ◇
足に合った靴選びは子供にとっても大事だ。アーチ状の骨格が形成され、土踏まずができるのは3歳ごろと考えられている。人間の足の骨は、生まれた時には軟骨が多いが、6歳ごろまでかけて徐々に骨に変わり、体の成長とともにアーチも高くなる。
子供の足と靴の関係を長年調べてきた佐藤整形外科(埼玉県春日部市)の佐藤雅人院長(元埼玉県立小児医療センター副病院長)は「靴が足よりも大きくぶかぶかだと、子供は脱げるのを気にして活発に走り回ることができず、骨格やアーチの形成にも影響する」と強調する。
佐藤院長は過去に、3歳から6歳までの幼稚園児約150人の足を調べた。その結果、足の成長は1年間に0・5-1・5センチだった。この結果から「1年に1、2回は大きい靴に買い替えが必要。大きさだけでなく幅も合わせて、動きやすいよう指先に余裕があるのがいい。足に合った靴を履いて活発に運動することが、健全な足の骨格の発育につながる」と助言する。
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