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下肢痛ない慢性腰痛でも手術は選択肢になり得るか(m3.comより)

下肢痛ない慢性腰痛でも手術は選択肢になり得るか

臨床賛否両論

手術は日本では一般的ではないが、診断次第で可能という意見も

2010年10月21日 星 良孝(m3.com編集部

腰痛はあらゆる疾患の中でも最も頻度の高い疾患だ。
その中で、下肢痛のない場合は日本では一般的に手術しない。
しかし、診断の精度を高めれば有効という見方もある。


賛成手術も行う

「原因部位を正しく特定することで、手術の治療成績は高まる」と千葉大学の大鳥精司氏は説明する

 「腰痛は下肢痛を伴わない場合、最初はもちろん運動療法を中心に対処していく。しかし、痛みが取れない場合は手術も考える。診断次第で、手術により痛みを取れるケースを見極められる」と、千葉大学整形外科助教の大鳥精司氏は説明する。

 欧州は、日本と比較すると、慢性腰痛の手術には前向きとされる。よく知られるのは、スウェーデンの294人を対象にしたランダム化比較試験。手術群が、非手術療法の群よりも、2年間追跡した治療成績は高かった。

 慢性腰痛の手術療法が躊躇されるのは、手術を受けた人のうち疼痛軽減がある人が7割程度にとどまるから。大鳥氏は、「腰痛の診断が的確でないために、手術療法の効果が十分ではなかった」と見ている。

 診断精度を高めるため、大鳥氏は新しい手法を取り入れている。一般に手術適用は、X線撮影で椎間板変性が確認されて、そのうち変性のある椎間板を造影して疼痛が再現した場合に考慮される。大鳥氏は、「椎間板造影は、カプサイシンで痛みを起こすようなもので、変性のあるなしに関わらず痛みが出る面もある」と言う。そこで、大鳥氏は、MRIを行って椎間板の変性をより綿密に判定した上で、椎間関節に局所麻酔薬を注射する「椎間関節ブロック」を実施し、疼痛軽減が見られるかどうかを指標としている。「疼痛を起こすよりも、疼痛の軽減を見る方が、あるべき診断だろう」と言う。

ランダム化比較試験で検証

 大鳥氏は、従来の椎間板造影で疼痛再現を見る方法と椎間板ブロックで疼痛軽減を調べる方法のどちらが手術適用を決める上で有効か、42人対象のランダム化比較試験によって確かめた。その結果、椎間板ブロック群の方が、手術から3年後の疼痛軽減効果は高いことが分かった。さらに、この診断法を用いて、慢性腰痛の患者41人を手術群と非手術群に分けて疼痛軽減効果を確かめる試験も実施。2年間の追跡の結果、手術群が有意に疼痛軽減効果は高かった。

 大鳥氏は椎間板ブロックによる診断法をルーチンに実施しており、手術による疼痛軽減は85%程度で達成されており、さらに成績は高めることができると見ている。取り組みを始めて5年ほどで、症状軽減の効果も維持されている。

 保存療法で良くならない慢性腰痛の患者を救う手段として、手術治療は確実に意味があるというのが大鳥氏の考え方だ。

[あおぞら整骨院]

慢性腰痛は

筋の運動キャパシティが小さい、

複合型が多い、

精神的な不安を抱えている、

など

いろんな方向から診て施術をしていく必要がある。

筋整復法による。

反対手術は行わない

「慢性腰痛で下肢痛がない場合、手術を推奨するには根拠が不足している」と見る福島県立医科大学整形外科の矢吹省司氏

 「神経痛のない場合に、慢性腰痛で手術できるかと言えば、やはり難しい。私たちのグループでは、関連の病院を含めても、慢性腰痛に対して手術をすることはない」。福島県立医科大学整形外科准教授の矢吹省司氏は言う。

 「手術成績が優れるという報告があるが、短期的に成績が良くても、2年、3年、10年と時間経過すると、疼痛軽減効果は低下していくことも分かっている」(矢吹氏)。

 椎間板の変性が痛みの原因とされるが、加齢性変化と疼痛との関係が必ずあるわけでもない。「従来、椎間板の変性は25歳くらいから進むとされたが、10代から退行するという考え方が出ている。椎間板変性は誰にでもあるもので、椎間板が変性しているから腰痛になるとも限らない」(矢吹氏)。

手術推奨の根拠が不足

 矢吹氏は、「手術のプラセボ効果も無視できない。手術を行うと8割近くの人が疼痛軽減すると報告されるが、手術を行わなくても同等の効果が出る可能性もある。椎間板が加齢変化し、周囲の神経終末を刺激するということのほか、腰痛は様々な原因で起きてくる。疼痛を起こす一連の流れが十分に説明仕切れていないうちは、手術を推奨することは難しい」と話す。

 疼痛の機序だけでなく、腰部の椎体を固定する意義も不明点があるという。例えば、ランダム化比較試験で、手術手技を比べた結果、固定強度によらず治療成績に差がないという結果がある。椎体のより強い固定に意味があるとの立場から見れば、この試験は期待と逆の結果が出たと言える。

 一方で、欧州のガイドラインでは、「非特異的な慢性腰痛に対する手術は、ほかの保存的な治療を2年間行って失敗した場合、全くほかの治療ができない場合以外は推奨されない」と明記されている。

 「運動療法や理学療法、認知療法を行うと、非侵襲的に症状軽減できる。患者が主体的に治療に参加することで、総合的な治療効果を見て好ましい。結果として、慢性腰痛の選択肢に、手術療法はなかなか入ってこない」と矢吹氏は話す。

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