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確実な治療が多剤耐性菌の発生防ぐ 結核/5止 あなたの処方箋/87
2011年2月11日 提供:毎日新聞社
あなたの処方箋:/87 結核/5止 確実な治療が多剤耐性菌の発生防ぐ
結核は11種類の薬の中から複数を選び、6カ月間服用することで治すことができる病気になった。だが不完全な治療を繰り返すことで菌に薬剤が効きにくい性質が備わり、近年欧米各国で治療薬が効かない患者が増加している。
日本の結核患者の治癒率は80%以上。だが最も有効な治療薬「リファンピシン」と「イソニアジド」が効かない多剤耐性結核菌に感染した場合、治癒率は50%程度に下がる。
「死の恐怖も感じました」。中国から東京大大学院に留学している男性(30)は06年に来日して間もなく結核を発症した。飲食店アルバイトの同僚から感染したと考えられている。治療から2年後に再発、さらに1年後に再発した時には4種類以上の薬が効かない「超多剤耐性結核菌」に感染していた。昨年、肺の一部を切除した。
全国の保健所調査によると、09年に菌を調べた6920人の結核患者のうち、一つの薬に対する耐性を備えた割合(耐性率)は5・0%(346人)、複数の薬への耐性を備えた多剤耐性率は0・8%(56人)だった。
国立病院機構東京病院(東京都清瀬市)の大島信治医師は「耐性結核菌の発生を防ぐためにも、最初の治療を確実に行うことが重要」と指摘する。
世界保健機関は95年、患者が完全に服薬して完治することで薬剤耐性結核の出現を予防することを目指し「直接服薬確認療法(DOTS)戦略」を提唱した。行政や医療機関などが連携して患者の服薬を直接確認する方法だ。
厚生労働省も日本版戦略を発表。05年の改正結核予防法(07年に感染症法に統合)で「確実な服薬」に関する規定が盛り込まれ、同戦略は全保健所で実施されている。戦略の背景には66年にリファンピシンが開発されて以降、有効な治療薬やワクチンが生まれていないこともある。大島医師は「自治体は管内に何人の多剤耐性結核患者がいるか把握し、医療機関は効果がある複数の薬を見極めて患者と協力して確実な治療をすることが大切だ」と話している。
(m3.comより)
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