大腿骨頭すべり症 - 横浜市で腰痛 坐骨神経痛解消の整骨院

あおぞら整骨院

コラム

大腿骨頭すべり症

うちに来た患者さんでこういうことがありました。
小学校5年生で少し太り気味の男の子で、ひざとももが痛いと足を引きずって来たのですが、もう一年経っているというのです。
「原因は」と聞くと、「よく分からない、走ってて転ぶことがよくあるので」と言うことでした。
「治療は」、と聞くと、「当初近くの接骨院に行っていたが、よくならないので整形外科に行ったが、そこでも同じようで」と言うことでした。
「治療内容は」と聞くと、「接骨院では、痛い場所の電気療法とマッサージ、整形外科では、ひざのレントゲンを撮って、シップ、後は電気療法」と言うことでした。
そうです。男の子が入ってきた時、あしの引きずり方がつま先で、アンバランスで、痛そうなんですけど、本人に聞くと、「それほど痛くない」と言うんです。
そう。「こども」、「それほど痛くない」、「よく転ぶ」=大したことはないと成りがちです。
木の腐ったところだけ診て、森・山・地形を診ないと、その木だけの問題ではなくなり、大きな被害となります。
結論を言いますと、男の子のひざは、曲げても痛くないし、ももはつっぱった感じの違和感なんです。それに比べて歩き方が、足を引きずって痛そうなんです。
股関節です。
屈曲制限、内旋制限、脚長差があり、これはということで外科的治療が出来るところを紹介して、股関節を診て貰いました。
大腿骨頭すべり症です。
進行性の疾患です。
そのとき、お母さんも妊婦ということもあって、お母さんが落ち着いたら、手術ということでした。
「中学生になったら野球がやりたい」と言っていました。
急性期に分かっていたら、今の負担はなかったのです。
大腿骨頭すべり症
大腿骨頭(だいたいこっとう)すべり症、というのは、思春期頃に多い疾患で、大腿骨の股関節部分(大腿骨頭)の「骨端線(こったんせん)」がずれるものです。
骨端線(こったんせん)は成長線ともいい、そこを中心として骨が成長する部分です。成長力が旺盛な反面、強度が弱く、ささいな衝撃でずれやすいのです。
ずれやすい、といっても、通常の生活でずれることはありませんが、体質的にずれやすい場合があります。
大腿骨頭に起こった場合に、「大腿骨頭すべり症」といいます。
肥満傾向があり、成長ホルモン異常があると、骨端線のずれが起こりやすいと言われていますが、検査しても、ホルモン異常がみられないことも少なくありません。
日本では、10-14才に多くみられ、この年齢の子供10万人あたり3人程度の発生頻度といわれており、比較的少ない病気です。3対1の割合で男の子に多く、右左の差はあまりありませんが、両側性の場合が14%にみられるとの報告があります。つまり、最初に片方が悪くなった場合、反対側も悪くなる確率が14%です。
症状は、何となく股関節や大腿部が重くだるい感じが続く「安定型」、転んだあとから急激に痛みがあり動けなくなる「不安定型」があります。
診断はレントゲン検査で行いますが、「安定型」も「不安定型」も、大腿骨頭の骨端線がずれた形をしています。
「安定型」は、ずれがゆっくりとすすんで、不安定性が少なく痛みも少ないのですが、転んだりすると、「不安定型」になることがありますので、注意が必要です。
骨端線がずれて(すべって)いるとどうなるのか。
関節の動きが悪くなり、最悪痛みも強く股関節の場合は痛みで動けなくなることもあり得ます。
成人になり、股関節の軟骨がすり減ってしまう「変形性股関節症」になる可能性がたかくなりますので、治療が必要です。
治療としては基本的に手術を行いますが、「安定型」と「不安定型」では、若干違います。
また、時間差で両側性になることもあり、ずれていない方も予防的に手術をすることもあります。
大腿骨頭すべり症の治療
安定型、不安定型で、治療内容が変わります。
安定型は、すべりがゆっくりすすんでいるもの。あまり痛みは強くありません。
不安定型は、急激に悪くなったものです。痛みが強く、立つことが出来ないほどです。
治療の目的は、安定型ではすべりの進行防止、不安定型ではすべりの安定化による痛みの軽減です。そして、最終的には変形性股関節症の予防です。
◇ 安定型では、すべり(ずれ)の程度で手術内容が変わります。
すべりが軽度であれば、その位置でネジで固定します。これをin situ pinning、といいます。
すべりの程度が強ければ、大腿骨の股関節側で矯正手術をします。すべり症では、大腿骨頭が後方に滑っていることが多いので、これが正常な位置にくるように骨のむきを変えて固定します。
矯正骨切り、と言いますが、いろんな切り方があり、執刀医の慣れた方法がとられることが一般的です。
◇ 不安定型では、滑った大腿骨頭が元に戻せることが多いので、エックス線透視装置で骨の位置を見ながら、元に戻したりします。
この操作を、「整復操作(せいふくそうさ)」といいますが、整復操作を乱暴に行うと、大腿骨頭への血の流れが悪くなり、「大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)」になることがあるので、注意が必要です。
元に戻したところで、安定型の最初の説明のようにネジで止めます。
固定後は数週間のギプス固定を行うことが多いです。
ギプス固定の替わりに、牽引療法と行って、ベッドの上で足を重りで引っ張って股関節に負担がかからないようにする場合もあります。
治療経過で、骨頭壊死がみられることがあり、厳重な注意が必要です。骨頭壊死が起こった場合は、ペルテス病に準じて治療を行うことが多いようです。
また、反対側がすべりが無くても、予防的に手術を行うことがあります。この場合は、in situ pinningが行われるのが一般的です。
比較的少ない病気ですが、将来にわたって慎重な治療が必要な病気です。
早期発見が大事
進行性の疾患なので、遅れれば遅れるほど手術の負担も大きいし、最悪、骨頭壊死になりかねません。
比較的少ない疾患ですが、小学生高学年程度のお子さんで、少し太り気味で、何かあしを痛がっている、または引きずっている期間が長いと感じたらすぐに受診してください。
通常、大腿骨頭のずれを直して金属製のピンで止める手術が必要になります。股関節は数週間から2カ月程度ギプスで動かないように固定します。
当院
手術後の機能回復施術。

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