ペルテス病
ペルテス病の患者さんが来ました。成人している方で若い男性です。世帯主で子供さんもいます。小さいころ装具をしていたが長くしているのが苦痛でとってしまったということです。手術はしていません。長く歩いたり仕事で疲れたりすると痛む。股関節の可動制限あり、歩き方は少しおかしい程度です。右側です。ある出来事で痛みが強くなったので来院。
施術治療は変形性股関節症の専門療法を施しました。3か月週2回程度で良好です。症状の痛みは解消です。
*良い方の股関節の様に、股関節が正しい位置になった訳ではありません。(臼蓋形成不全がある可能性がある)関節可動域は少しいいかな程度、歩き方も前より少しいい程度です。
ただ、日常生活での痛み、仕事での痛みがなくなったことです。
伝えたことは、痛みが出れば来てください。セルフケア指導。将来に変形性股関節症や大腿骨頭壊死症の可能性?、もしくはケアしながらならこの程度で将来もいくかもしれない?。この辺が心配不安なら病院の医師の診察を仰いでください。
この疾患に対する私の仕事です。
大腿骨頭すべり症と似たような症状にペルテス病があります。ここではペルテス病を転載します。
ペルテス病
ペルテス病は、先天性股関節脱臼とならんで、こどもの股関節疾患として広く知られています。Legg、Calve、Perthesという別々の人がほぼ同時期に症例発表したことから、Legg-Calve-Perhes 病、と言いますが、一般的には最後の部分をとり、Perthes病と呼びます。
症状は、股関節の痛みや、歩き方がおかしい、また股関節の動く範囲が狭くなったり、太腿の筋肉が細くなったりします。こどもの股関節の病気では、膝が痛く感じる場合がありますので、膝の病気と間違われることも少なくありません。
ペルテス病は幼児から小学生にかけて好発する、原因不明の病気です。
原因不明、と言いましたが、ある程度分かっていることもあります。成長期の股関節で、大腿骨頭(だいたいこっとう)の部分の血液の流れが一時的に悪くなることで、大腿骨頭の壊死(えし)が生じます。原因不明なのは、なぜ血液の流れが悪くなるか、です。血液の流れが悪くなるのは一時的で、その後、血流は元に戻ると言われています。なぜ、血流が再開するのかも、分かっていません。
壊死とは、骨に栄養がいかないことから、徐々に弱くなっていくことを言います。発症から、血流が正常化し、さらに、大腿骨頭の骨が再び元通りに強くなるまでの期間は、2年から3年かかります。成人で、大腿骨頭の血流が悪くなり、大腿骨が変形する病気は「大腿骨頭壊死症(だいたいこっとうえししょう)」と呼びますが、ペルテス病とは、血流の再開が起こらないことが大きな違いです。
股関節は、体重がかかる関節で、筋力などの関係から、歩いているときは体重の数倍の力がかかります。大腿骨頭が弱い時期に、大腿骨頭へ圧迫がかかると、骨頭が変形することがあります。変形したまま、骨が強くなると、変形が残ってしまいます。変形した大腿骨頭は、股関節全体の変形を引き起こし、将来、股関節の痛みなど、変形性股関節症(へんけいせいこかんせつしょう)の原因となります。いかにして、大腿骨頭の変形を予防し、大腿骨頭の修復期を迎えるか。これが、ペルテス病の治療のすべてと言っていいでしょう。先天股脱の解説でも、触れましたが、小児股関節疾患の治療は、いかに大腿骨頭の変形を予防するか。にかかっているのです。
ペルテス病治療の基本
ペルテス病は、簡単に言うと、小児期に起きる大腿骨頭壊死(だいたいこっとうえし)、です。一時的に、大腿骨頭(だいたいこっとう)の血流が悪くなることで、大腿骨頭の骨がもろくなる病気です。教科書の分類で言うと、「骨端症(こったんしょう)」です。
一時的、ですので、血流は再び良くなることが、成人の大腿骨頭壊死と違う部分ですね。再び、血流が良くなれば、骨が強くなりますので、それまでの間に大腿骨頭が変形しないように、「まんまる」な形にしておくことが治療の原則です。そのためには、大腿骨頭の受け皿である、臼蓋(きゅうがい)を利用します。
臼蓋は、球形の大腿骨頭とぴったり合うように出来ているので、これを鋳型(いがた)として使います。 大腿骨頭が、もっとも球形を保てるように、臼蓋の中に大腿骨頭をつぶれないように、入れておくのです。
この目的のためには、一般的には「股関節装具(こかんせつそうぐ)」を使いますが、いろいろな種類があります。
片方だけ、股を開いた形で固定するもの。
体重がかからないように、おしりにつっかえ棒がついたもの。
両足とも開いた形で、車いすなどに載るもの。
体重をかけた方がいいかどうかも、結論は出ていません。一般的には、体重はかけない方がいいという医師が多いようです。装具の種類によっては、自転車に乗れるものもあります。
治療の期間は2年から3年かかる場合も多く、外来通院での治療が多いのですが、治療装具の種類、治療施設の方針などから、長期入院となることもあります。
装具装着が面倒で、不便なことから、自宅では治療効果が低い、と主張する医師もいます。入院での厳密な管理のもとで、治療すべきであると。
僕は個人的には、外来治療が基本かなあ、と思っています。
長期間、家庭から子供を離し、入院生活を送ることで、たくましく育つ、という場合もあるのでしょうが、年齢が低い5、6才の場合など、やはり親元とで過ごさせたい、とも思います。
どうしても、自宅での治療では難しい場合、入院での管理も必要で しょうが、その辺りは、ご両親や保護者の方との、話し合いが不可欠ですね。
子供のために、とご両親が心を鬼にしていることも、決して忘れてはいけないことです。
なにがベストの治療なのか。
こどもの心の成長も考えながら、状況に応じた対応が必要です。
装具ではどうしても、良い位置が保てない場合や、骨頭変形がひどくなることが予測される場合は、手術療法を行うことがあります。
ペルテス病の手術治療について
ペルテス病は、基本的には装具などで治療します。ここで、医学用語の説明ですが、手術治療に対して、薬物、装具、理学療法(いわゆるリハビリ)で治療することを、「保存的治療」といいます。
保存的治療では、よく治らないような場合は、手術が行われます。
手術するときの条件としては、保存的治療が効果が低いと思われる場合です。ペルテス病の場合では、骨頭変形が強く、装具を使用してもきちんと臼蓋(きゅうがい:股関節の臼蓋側のくぼみ)に収まらない場合に、大腿骨や、臼蓋のむきを変えて、臼蓋の中に大腿骨頭が収まるようにします。
大腿骨内反骨切り術、骨盤骨切り術という手術を行うことがあります。装具療法では、股関節を広げた形にするものが多いのですが、装具がなくても、股関節の部分の形を変えることで、よい位置にする訳です。
また、手術治療を行うと、股関節の骨の血流が良くなるらしく、骨頭が早く修復されるようです。べつに、それを期待して手術するわけではありませんが。
手術の後、一ヶ月程度ギプス固定をしたり、牽引療法を行って骨がつくのを待ちます。ギプス固定は、体の胸のあたりから、手術側の足先までギプス固定をします。
ペルテス病は3-4才以下では、自然に治ることも多いと言われている一方で、9才以上での発症では治りにくく、手術を行われることが多いようです。
補足:ペルテス病で装具でも、手術でも治療を始める前に、短期間(2週間ほど)入院して、股関節を引っ張って柔らかくする、牽引療法を行うことが多いです。ベッドで横になって、両足に包帯などで重りを固定して引っ張るのです。関節の動きを少し良くしておいて治療すると、効果が高いようです。
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