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病気、障害「治療のせい?」 こうのとり追って 第2部・不妊治療を知る/5止
2011年2月4日 提供:毎日新聞社
こうのとり追って:第2部・不妊治療を知る/5止 病気、障害「治療のせい?」
◇自責、後悔越え「生まれてくれてよかった」
近畿地方の主婦(35)が1年半の不妊治療を経て授かった長男(2)は、生まれつき心臓や血管に疾患があった。妊娠は、夫の精子を医師が排卵に合わせて子宮に注入する人工授精だった。「不妊治療と疾患は関係がないだろう」と医師には言われたが、気持ちは揺れた。「何か特別なことをしたのは不妊治療しかない。治療で薬を使ったからなのか。苦しい思いをさせてまで、産んでよかったのか」と、自分を責めた。治療中は妊娠することが目的になっていたが、「子供を産んでからがスタートだった」。
それでも、我が子はいとおしい。ひざの上に抱き上げると、自分が抱かれているような気がする。自分に見せる笑顔や、無条件に頼ってくれるのがうれしい。「この子がいなかったら生きていけない」と思う。最近、主婦は再び不妊治療を受け始めた。母親(66)は長男の疾患は不妊治療が原因という思いがぬぐえず、「無理に2人目を産まなくても」と言う。妊娠したら「治療しないで自然にできた」と伝えるつもりだ。
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産業医科大小児科の白石美香・NICU(新生児集中治療室)医長は、これまで複数の病院で勤務し、赤ちゃんに障害や病気があったとき、精神的に受け入れられない母親を数多く見てきた。ある母親は、後遺症が残る可能性のある病気の赤ちゃんを見て「とても育てられない。呼吸器を外して」と頼んだ。病気の赤ちゃんを出産した別の母親は「こういう子はうちの家系には生まれないはず」と言い張った。「あんなに苦労してできた子なのに、障害があるなんて許せない」。そう訴える母親もいた。
「不妊治療を受けて産んだお母さんには、産むことが最終ゴールになっている方も多い」と白石さんは語る。こうした女性たちに白石さんは、母乳を持ってきてもらい、赤ちゃんに触れるよう促すなど、少しずつ、母親としての自覚や愛情が芽生えていくように促していくという。
◇
17年前、体外受精で双子の男児を出産した近畿地方の別の主婦(49)も自責の念にとらわれてきた。次男は仮死状態で生まれ、知的障害が残った。
子宮に戻した受精卵は4個。日本産科婦人科学会は08年、多胎による母体への負担や早産といったリスクを減らすため、原則として子宮に戻す受精卵を1個とする見解をまとめている。しかし、主婦が治療を受けた当時は、いくつ戻すかは医師の判断次第で、受精卵が複数着床して多胎妊娠につながる可能性は、現在より高かった。
医師は仮死状態だった次男に障害が残る可能性があると告げた。長男に比べ成長が遅かったが、はっきりと事実が分かったのは2歳になるころに受けた検査だった。
夫の転勤で地元から離れて暮らしていたため、頼れる人は身近にいなかった。「死にたい」と毎日のように思い、治療を受けたことを後悔した。子供たちはかわいいが、疲れている時は、悪い考えがよぎった。「治療しなければ生まれてこなかった命なのに」「子供がいない人生を受け入れればよかった」
この2~3年、次男が目に見えて成長してきた。以前は自分の思い通りにならないと我慢できなかったが、主婦が忙しい時は手が空くのを待てるようになった。主婦が着替えに手を貸そうとしても断るなど、少しずつ自立心が芽生えている。
今は「生まれてくれてよかった」と心から思う。そして「生まれてきて幸せだ」と、子供たちが感じてくれていたら、と願っている。
(m3.comより)
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