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費用・時間、負担大きく こうのとり追って 第2部・不妊治療を知る/3
2011年2月2日 提供:毎日新聞社
こうのとり追って:第2部・不妊治療を知る/3 費用・時間、負担大きく
◇「経済的理由で治療ためらう」8割 仕事との両立、綱渡り
東京都の女性会社員(39)は3年間の不妊治療の末、長女(1)を授かった。支払った治療費は総額で約200万円にのぼる。排卵日を特定するタイミング法に続いて、採取した精子を子宮内に注入する人工授精を7回試みたが失敗。4回目の体外受精でようやく妊娠、出産できた。費用が特にかさんだのは体外受精で、1回あたり約30万円だった。それでも女性は「1回50万円という施設もあるので、良心的な方だと思う」と語る。
不妊で悩む人を支援するNPO法人Fineが、インターネットで10年に行った調査(回答数約1100人)では、治療開始からの治療費総額は「10万~50万円未満」と「100万~200万円未満」がそれぞれ4分の1ずつを占め、300万円以上支払った人も約1割いた。また、経済的な理由から高度な治療に進むのをためらったり延期したりした人は8割だった。
治療費は施設によってばらつきがあるが、人工授精や体外受精などは保険が適用されない。治療が長引いてより高度な治療に進むほど経済的な負担感は増してくる。自治体の助成制度が04年度にできたものの、所得制限や助成回数に限りがあり、不満も出ている。
都内の女性会社員は治療費を共働きでまかなうことができたが、最も苦労したのは治療と仕事との両立だった。治療は女性の体の周期に合わせて行われるため、予定を立てるのが難しい。
「世間は不妊治療中だからといって配慮してくれるわけではない。会社には遅刻したくなかった」。診察がある日は朝一番にクリニックに入り、タクシーを飛ばして職場に駆け込んだ。治療の日程に出張が重ならないかと冷や冷やした。「本当に綱渡りだった」
近畿地方の公立高校で講師を務めていた女性(34)は昨春、念願の教員に正式採用された。今年の4月から学級担任を任される可能性があり、不妊治療と両立できるのか悩んでいる。人工授精の治療を受けている不妊専門クリニックは学校から約1時間かかる。担任を持てば今よりも時間の融通は利かなくなるため、転院せざるを得ないと考えている。
治療していることは、親しい女性の同僚にしか話していない。「ホルモンに作用する薬のためか、感情のコントロールも難しい。学校では出さないようにしているので、その分、家では涙がボロボロこぼれたりする」。治療は大きな負担だが「いま子どもをあきらめて仕事にまい進したら、きっと後悔する」と、女性は唇をかむ。
体外受精させた卵をより自然に近い状態で子宮に戻すため、そのタイミングは医師が判断する。横浜市の女性会社員(34)は、治療前日に電話で連絡を受けた。会社の上司には「家の都合で」と説明して、欠勤した。
「治療のために仕事を辞めたいが、子どもができたら、もっとお金がかかるし、将来への不安もある」。治療の間だけでも、会社を休めれば、と思う。会社の就業規則には「不妊治療を受けるために休職してもよい」と記載されているが「復職後に会社を辞めるかどうかの判断をしてください」とも書かれている。休職も簡単ではなさそうだ。
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高齢出産をテーマにしたインターネット掲示板「高齢出産VOICE」を運営するbabycom代表の鈴木賀世子さん(54)は、多くの女性の悩みを聞いてきた。掲示板の参加者は30代後半~40代半ばが中心で、この2、3年、不妊の悩みを訴える投稿が増えている。「老後や住宅取得の資金をつぎ込んでしまった」「教育資金など子どもができた後の経済的負担が心配」という不安を抱える女性は多い。
治療費を捻出するために仕事を辞められない人がいる一方で、「子どもを授からなかった場合、自分の中になにも残らない」と仕事を続ける人もいるという。「治療する女性の立場はそれぞれだが、職場の理解は必要だ。カウンセリングの場が多くあれば、心の持ち方も違ってくるかもしれない」と鈴木さんは指摘する。
(m3.comより)
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